
最近読んだおすすめ本の紹介です。売上を上げるためのコンセプト設計やマーケティングについて、筆者独自の見解を述べています。数学的なアプローチなど専門的な内容もあり、マーケティングや数的な分析を本職とする方向けの内容も含まれましたが、大方は文系素人でも理解できる具体的かつ分かりやすい説明で興味深い知見を得ることができました。
この本には前作「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」が存在しますが、私はこちらを読んでいません。前作を読まなくても丁寧に話の前提情報を記載してあるため、読み進めることができました。(マーケティングをより深く理解したい方は前作もセットで読んだ方が良いかもしれません)
- 著者:森岡毅・今西聖貴
- ページ数:402ページ
- 出版社:ダイヤモンド社
- 発売日:2025年1月29日
この本を手に取ったきっかけ
著者のにわかファンだった
この本の著者である森岡毅さんを“USJの業績を上げた人、ハリポタエリアを作った人”という認識で知っていました。この方のユーモアのあるキャラクターや論理的で芯を食った発言が好きで、メディアに出ているとチェックしていました。
今年2025年の夏に森岡毅さんが手掛ける新テーマパーク“ジャングリア沖縄”がオープンするとのことで、そのプロモーションとしてテレ東BIZに出演されているのをたまたま見て、この本の存在を知りました。
森岡毅さんがCEOを務める株式会社 刀では、テーマパークだけでなく飲食店や大衆向け商品のコンセプト設計・マーケティングを行っていますが、ヒットメーカーの知見や思考法についてシンプルに興味が沸き、番組視聴中に即ポチで買ったという経緯です。
あまり詳細を調べず買いましたが、内容としてはとても具体的かつ専門的なことが書かれており、マーケティングを本職とする方にとても刺さる内容かと思いました。私はマーケティングや経営戦略の仕事をしたことはなくズブの素人ですが、ブログ運営の参考になる内容もあり、とても勉強になりました。
印象に残った内容・感想
コトラーのターゲティング理論を論理的に否定していて新鮮だった
この本の主題は、売上を増やすためにプレファランス(選ばれる確率)をいかに上げるか、という内容になるのですが、ターゲティングを説明する章にて、マーケティング理論の巨匠、フィリップ・コトラーのターゲティング理論を明確に否定します。「的を絞ったターゲティングをし、効率的な経営を行う」という考え方は違うと、理論と数式で論理的に説明しています。マーケティングの知見が皆無な私でも聞いたことのあるターゲティング理論を否定していたため、非常に興味深かったです。
「ターゲティングありきで考えると、自分が本来達成できる最大のポテンシャルを満たすことが出来ない」という理由から、マーケターとしての基本戦略は、ターゲットを垂直方向に広げるという考え方ではなく、水平方向に広げるべきだ、というのが筆者の主張になります。ターゲットは一部の例外を除き、広く構えることが鉄則で意図的に狭めるべきではないという考えですね。
マーケティングは机上の空論ではなく、実践を繰り返しながら身に着けていくものだ、という趣旨の言葉があったのですが、実際に数々の商品・サービスの立ち上げ・プロモーションを成功させている人の言葉だと説得力があるなと思いました。
実例豊富で行ってみたい場所が増えた
この本の中で、森岡毅さんがCEOを務める会社である株式会社 刀が実際に携わったクライアントの事例がいくつか出てきます。筆者は書籍の中でクライアントのプロモーションをするという意図はないものと思いますが、クライアントの要望・課題抽出・戦略設計・改善内容・結果についてストーリー立てて書いてあるため、クライアントそれぞれの思いや拘りが分かり、ユーザーとして体験してみたい!行ってみたい!という気持ちになりました。特に印象に残ったものを記載します。
USJ
2014年頃のUSJ業績改善の取り組みについて紹介されています。“映画をテーマにしたパーク”から“世界最高のエンタメを揃えるパーク”にリブランディングするまでの理論や、社内外の抵抗勢力への率直な思いなど書かれており、改革の物語としても興味深く読むことが出来ました。リブランディングした結果、「世界最高を、お届けしたい。」「Wo w!」というキャッチコピーを掲げ、エリア拡大や新アトラクション導入を行うまでの取り組みが書かれています。結果、USJの業績はV字回復をしました。
2014年頃は私が大学生の頃で、リニューアルしたUSJに実際に足を運びました。とても感動したのを覚えています。2025年現在、森岡毅さんは経営に携わっていないようですが、ドンキーコングエリアやマリオのエリアが出来ていて、いつか家族みんなで行きたいなぁと思いました。
丸亀製麵
この本を読むまで丸亀製麵のイメージは「フードコートによくあるうどんのお店。安くて早く食べることができる」という印象でした。実は丸亀製麵は1店舗1店舗麺を粉から作っている本格的なうどん専門店とのことで、この特徴を活かしたブランドキャンペーンとして「ここのうどんは、生きている。丸亀製麵」を掲げ、業績を回復させたそうです。
そして、これは雑学的な内容ですが、子供はなぜうどんが好きかという理由も述べられており、うどんの太さや触感が母親のおっぱいを吸う頃の記憶を想起させるためだそうです。確かに似ているかもしれない、と新たな発見でした。息子が大きくなったら一緒に丸亀製麵のうどんを食べたいと思います。
西武園ゆうえんち
USJと同じくテーマパークの事例となりますが、USJと大きく異なる点は予算がかなり限られていることです。一般的にテーマパーク事業は初期投資に莫大なお金がかかり、後から集客で取り戻すという流れかと思いますが、西武園ゆうえんちでかけられる予算は約100億円だったようです。(本気でリニューアルするには1000億円はかかるとのこと)
既存の施設を活かしながら新たなコンセプトを生み出すという難しい課題ですが、“施設の古さ”を逆手に取って「古き良き昭和レトロ」をコンセプトにリブランディングしたそうです。
ウルトラマンやゴジラのアトラクションが新設されたこともこの本を通じて知りました。かなり秀逸なアトラクションのようです。息子が大きくなったらぜひ行きたいと思いました。
JUNGLIA(ジャングリア)
ジャングリアは2025年夏にオープン予定の沖縄北部に新たにできるテーマパークです。このテーマパークの情報を収集するためにこの本を買ったといっても過言ではないです。
ジャングリアのコンセプトは「Power Vacance!!」とのことで、沖縄への旅行客をターゲットとしたテーマパークとのことです。国内旅行者のみならず、海外からの集客にも力を入れるそうです。沖縄旅行ならではの、自然とのふれあいや非日常な贅沢を叶えるための仕掛けが数多くあるそうです。
沖縄の会社が出資するなど、地元と連携して事業展開していくようです。ただのテーマパークではなく、地方創生の役割も担うテーマパークとのことで、力が入っていそうだなと思いました。息子が大きくなったらぜひ行きたいです。
自分のブログ運営に役立つノウハウ獲得ができた
マーケティングの考え方は自分のブログ運営にも活かせる内容が多々あったように思いました。
- 読者ターゲットを絞りすぎない、広げる
- 戦略的に集中すべき「重心」を見極める
- 強いマーケティング・コンセプトをつくる
私の場合、育児ブログを作成していますが、
- 想定読者をママのみに限定しない。日々忙しく過ごしている社会人すべてが戦略ターゲット。
- 読者のすき間時間を充実させることが出来るコンテンツ作成に力を入れる(記事のテーマの明確化、このブログならではの視点を入れる)
- 息抜きの場で読みたい文章にする(愚痴を書かない・共感したり読んでほっこりできるもの)
ざっとこんな要素を軸に据えたいなと考えました。
こんな人におすすめ
企業のマーケティング担当者(特にサービス業やB to Cビジネスをやっている企業)や個人事業主(自身でマーケティング戦略を考える必要がある人)の方にはぜひ読むことをおすすめしたいです。本質的な思考法が分かるため、教養として全ビジネスマンも読んで損はない本だと思います。
気になる方はぜひチェックしてみてください。

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